apr./may./jun./jul./aug.

TEXT by Akiko Ikeda

池田朗子 profile
1972年
岐阜市生まれ
1995年
名古屋芸術大学卒業
1997年
京都市立芸術大学大学院美術研究科修了
現在
チェルシーカレッジ・アートアンドデザイン大学院
在学中

個展
1993年
オルガン教室―縦笛の順番を待つのが怖い
(カノーヴァン・名古屋)
オルガン教室―縦笛の順番を待つのが怖い
(クロッキー・岐阜)
おしゃべり機械 尻尾の欲しい本当の理由
(名古屋市市政資料館)
1996年
ジャックのテント2(カノーヴァン・名古屋)
1997年
ファーマーズビュー(ギャラリーそわか・京都)
house-house-house(ギャラリーギャラリー・京都)
1998年
Where is the captain ?(ギャラリーそわか・京都)
1999年
Airplane a go go (N-mark・名古屋)
2000年
スルーイング・ザ・ドッグ(ギャラリー虹/京都)
ドローイング(GALERIE Weissraum/京都)

グループ展
1996年
The LIBRARY(ギャラリーそわか・京都)
1999年
当世物見遊山(お宿「吉水」・京都)


7月24日(火)〜7月31日(火)
タイトル:レポート・ディグリーショウ!

この期間中、私はプロジェクターがオーバーヒートしないか、ビデオが伸びないか?ばかりを気にして登校し、月曜日から急に天気が良くなり、お日様が降り注ぐ中学校で日焼けをしていた。いくつか気になった作品と一緒に静かな展覧会の様子のレポート。 わがチェルシーの卒業制作展は、その構内で行われた。ほぼ一ヶ月前に、希望を募って場所を決められ(希望どおりに行かない場合もある)、制作に入った。それまでのスタジオよりファンデーションのスタジオがつかえることもあって、広く、独立した空間を使える人がほとんど、すべて平屋の校舎とその天井の高さは作品をかなり引き立てていると思う。
さてさて、ほんのチョットだけ作品紹介。Anna FASSHAUER 彼女は、私がこのコースで一番初めに話をしたドイツ人の女の子。段ボールや、角材などの加工しやすい材料を使って、次々にオブジェを作りつづけていた。この展示では災害?で逃げ惑う車、炎、そしてそこから逃げ出そうとするロケットをインスタレーション、劇場のように繰り広げられるシーンは、その勢いと素材の陳腐さがミソ!と個人的にかなり楽しむ。 その横で、空間を同じくしているのがDylan Shipton。壁に空けられた穴、溝、そこに淡いピンクや緑や、色のついたパテを埋め込みさらに削るという作業が繰り返されている。作業自体は大きな音を立てるので、「まるで歯医者みたいだ!」とその場所を離れた事もしばしばあったが作品は、軽やか。絵画的な印象。それが壁一面に構成されている。
さて、私のお隣 Stephen LAKER は日記にも書いたがスタジオ内にもう一つ空間を作り上げた。というもの彼は一年かけて硬質石膏を使って人体模型(デッサン用の模型人形)のパーツを等身大にして作っていた。そのプレゼンのためショップ・ディスプレイを思い起こさせる空間を用意した。同時に、設置されたビデオには道端や、公園の人のしぐさを撮った映像を編集し「身体観」をずっと追いつづけてたのだなと納得させられる。(本当に出来上がってよかったよ、本当に!!!)
ココで、初の日本人Hideki TOYOSHIMA.。(いつもお世話になっています。)彼は、なんと道端でポートレイトを書いているおじさんを作品のために連れてきた!この空間の入ると目の前に壁一面を覆うカンバスにビックベンの絵。典型的な観光写真(ポストカード)の構図。その前にそのおじさんが座っている。観客は、そのおじさんと個人交渉してポートレイトを描いてもらう。これがプライヴェート・ヴューでは大賑わいだった。日本でのこの作品の展開を個人的に期待しているのだけど・・・・。
そして最後に、私が個人的に作品のファンであるHannah Williams。彼女は、このコースを通して、日常にあるもの(ふるいジュ−タンや、カーテン、机など)を使って作品を作ってきた。が、今回、展示場所のスタジオを与えられその表現をかえた。スタジオ自体、もともとから古い壁に、パネルでツイタテをするように展示用の壁が設置されている。それをまた強調するようにその壁に紙を貼り壁紙をはがしたような小さな作業の痕跡を作り上げ、その空間の壁、四方すべてにドローイングをした。何もない空間、壁には「エスケープ」というキーワードが浮かぶ、「抜け穴」「梯子」「ドア」が物理的条件を無視してプラン・ドローイングのように鉛筆のシンプルな線で次々と描かれている。私は、このシンプルな展示と、そこにある「内と外」の意識、そして彼女のこの一年の結果としてそれを見れたのになんだかとても嬉しくなった。


7月23日(月)
タイトル:プライヴェート・ヴュー・フィ−バー

ともかく、機材のことばかりが気がかりになりながら登校。学校ではバーベキューをしながら、クラスメイト、チューター、スタッフが腹ごしらえをしている。私も、少しだけ食べる。
始まると、少しづつ顔見知りの方々が入場。私は居場所がなくあっちへ行ったり、こっちに行ったりしている。場所が良いので人が私のスペースにあふれている。皆さん笑って見てくれているので何となくホッとする。本当にバタバタで過ぎって行った3時間。その後、アフターパーティーがあり、そこでも盛り上がる。しかし、気分的には明日からの機材管理が気にかかる。


7月22日(日)
タイトル:決戦(?)前夜。

ともかく、伸びきっている髪を切りにいつものノリコサンの所へ。帰国前最後なので、二人でまたも日本の話で盛り上がる。ノリコサン、日本のビデオを入手したらしく「江口洋介」をべた褒め(笑)食糧を買い込み、帰宅、早寝。


7月21日(土)
タイトル:ご褒美をあげる。

なんだか寒い。セーターを着て登校。スペースの掃除をする。
ショウの始まる前の空気は好き。芝居の幕の裏みたいなドキドキ。友人との待ち合わせまで、久し振りの買い物に出る。丁度、セールの時期で格安ではないが(私にとっては)お店がにぎわっている。疲れているせいか「アロマテラピー・キャンドル」とか、「つぼ押し器(オリジンズ”thumb-ease”)」などを買っていた。プライヴェート・ヴューのための赤いズボンも手ごろな値段で見つけ友人と待ち合わせたICAへ。展覧会は、丁度変わり目で見れなかったが二人とも展覧会気分ではなく「コベントガーデン」へ。友人は、先ごろリチャード・ディーコンのスタジオを訪れたらしく様子を報告してくれる。なんだか遠い人が急に近くに感じるのは不思議な気分。(どうやら、彼は小さなおもちゃを集めているらしい)その後、元気な友人に連れられて再びICAのイベントに行く。ラテン音楽の日で、かなりよかった!しかし、人が多すぎて帰宅する。


7月20日(金)
タイトル:成績????

本日は、なんだか成績が渡されるとの事。
「成績って?」っと、名前の書かれた封筒を受け取る。中には「pass」とかかれた手紙が入っていて何となく気が抜ける。
しかし、不満げなクラスメイトの雰囲気を感じ取り、「何でだろう?」と思ったら「distinction(優秀)」というのもあったらしく成績発表(全員)の際にそれをとったクラスメイトが明らかになる。
全部で5人。4人男性で女性が1人、皆イギリス人だった。コンセプトの強い作品を作っている人が、目立ったのが意外・・・。
何はともあれ、私はパスした皆と私に拍手!!!!!


7月19日(木)
タイトル:キップ

日本帰国のフライト・チケットを買う。8月31日の朝の便。フランクフルト経由便なので、少し体力を使うが仕方がないか・・・・。
その後、その周りのギャラリーをまわる。その一つ"asprey jacques"の "Hallucinating love"と題されたグループ展が気になる。辞書によると、「Hallucinate=〜に幻覚をおこさせる(見せる)」となっている。Sarah Ciraciのビデオ作品「Rapture」、デジタル処理で現在する建物がUFOのように飛んでいくシーンを3パターン見せる。ほとんどギャグ?だが、好み。夕方、お友達の家でご飯。


7月18日(水)
タイトル:底に沈む。

本当に何時なのか、わからないまま目覚める。「ひょっとしたら、凄い遅いのかしら?」とドキドキしながら登校。ほとんど何もすることなく、そのままフラットに戻る。
新しいフラットには食料がないので買出し。帰宅後、凄く眠くなって昼寝。怠惰な生活だわ。
夜のテレビで昔のショーン・コネリーの「007」がやっているメッチャメッチャ格好良い!参った!


7月17日(火)
タイトル:時間よ止まれ!

何となく気持ちが、落ち着かない。テンションが下がらない。元フラットに戻って、帰国のため、本などの荷物を整理に行く。時計を見ると8時前で針が動いていない。ほとんど何も置いていない部屋にも時計がなく、何時なのか全く判らないまま郵便局に荷物を預けに行く。お天気も悪くなり、気温も下がって、私の気力も下がる。そのまま、日本の母に電話、読書、昼寝をしていたら夜になる。
フラットメイトと夕食を作り、話し込んで、結局そのフラットで眠る。


7月16日(月)
タイトル:I NEED A ENGLISH TEACHER!

朝から登校して、ドキュメンテーションとステートメントを設置キャプションも作ってチューターを待つ。ただプロジェクターをオンにするためだけに2時間待ち。そして、オンにして彼らの採点中は立ち去る。「全然意味ないジャン、自分でやってよ。」(朗子、心の怒り)しかも!その後、「AKIKO!タイトルのスペルが間違っていて、意味が通じないよ!」と、指摘されてしまう。落ち込む。早速、打ち直すが、未だにこんな私。となりで友達が笑っているが本気で「黙れ!」と怒ってしまう。疲れているのね、きっと・・・・。
しかし、夕方映画を見に行く。「together」というスウェーデン映画。コレがまた良くって・・・・・。


7月15日(日)
タイトル:ビールをおごられる。

佳境だから、作品を設置する。もう、お隣のホコリの事とかなんて気にしてられないのよおお!写真の設置。額の取り付け。
「さあ!床塗り」というのに、お隣は完全にパニック。私もつられてパニック。お友達が「もう気にしないで塗ってしまえ!」と、勢いをつけてくれる。正気に戻ってお手伝いのトモちゃんとあっという間に塗り上げる。(正気に戻してくれたお友達ありがとう!トモちゃん!ホントにホントにありがとう!!!!!!)
こんな風にバタバタしたのと、コレでコースが終わるというのでかなり緊張した。終わりたかったような、終わりたくなかったような。
そのまま、パブに繰り出してもちろん!おごりのビールを飲んだのさ!(しかし、ステートメントを書かなくてはいけないので一杯で帰宅)


7月14日(土)
タイトル:一日は24時間です。

予定では、この頃は凄く暇になっている予定だったので新しいフラットに引越しをする予定を入れてしまっていた。
新しいフラットは、学校からバスで15分ほどの良いロケーションだがしかし、元のフラットからは少し遠い。作業(何故かお隣の作品と、壁を塗っている私・・・・。)の後、帰宅・引越し。
日本人のお友達が手伝ってくれてトランク、バックパック含めて4つほどの荷物と一緒にバスを乗り継ぐ。クタクタで辿り着くと、大家さんはとても親切で部屋も広く荷物はあっという間に収まった。ホッとするまもなく、そのまま、バスに乗って作品の写真を受け取りに良く。
「何でこんなにギリギリなの???」と思うが、こんな事考えたって何にも変わらないのだった。


7月13日(金)
タイトル:不定休日

あまりのバタバタに不定休日。


7月12日(木)
タイトル:クレーム

なんだか急に冷え込んで冬物長袖セーターなどを出す始末。どうなってんの?!
頼んでいた写真を受け取る。これがまた明る過ぎる。「クレーム付けに行かなくっちゃ。」それだけで、気分が滅入るのだ。英語できちんとクレームをつけるのは、凄いストレス。明日、きちんとした物が入るはず(だった・・・・・。)


7月11日(水)
タイトル:またまた変更。

元チューターと話をして、予定よりモニターを小さくしてビデオ作品を見せる事にした。「・・・・・という事は、また変更ね」気分的に少し焦る。でも、そのほうが空間がスッキリする。そのためのアングル設置の計画を立て、床を少しだけ塗る。しかし!同じ色に塗るといっていた隣のクラスメイトが帰宅前に色変更を宣告してくる・・・・。「ええええ!あんたが塗るって言ったから私、この色にしたのにぃ」と言ったものの、狭い空間だから床の色を二人とも変えるとパッチワークみたいになって格好悪いから、出来たら同じ色にしたい。「判ったよ、塗りなおそうね・・・・(トホホ)」


7月10日(火)
タイトル:逃げられないってば!

午前中だけ登校して少しだけ作業。
昨日、チューターが作品の設置の仕方にOKを出してくれた所の写真を用意。心の中だけ、バタバタ。バタバタ。しかも、学校の雰囲気にも疲れる。お隣はカナリ込み入った設置をしていて、観ているこっちが不安になる。大丈夫かな????


7月9日(月)
タイトル:白く塗りつぶせ!

ともかく壁塗り。壁塗り。壁塗り。
なんだか無駄な労力を使っているかな?
でも、気分だけは前向きに。
すでにTシャツは立派なペインターのもの!


7月8日(日)
タイトル:早起きは三文の得?

7時起床、そのままビデオを持って撮影に向かう。曇りのお天気のせいもあって、街は静かで撮影快調!しかし眠いのと、鼻炎の薬のせいで少しボーっと入たままの作業が続く。そして、なんとバスの運転手まで道を間違え(どうもいつもと違うルートで走らなくてはならず、迷ったらしい)何故か同じ地区をグルグル回る羽目になる。午後から、登校作業。


7月7日(土)
タイトル:身を削る。

急に曇りのお天気。少し肌寒い。この温度差で軟弱な私はかなり体力をうばわれる。眠いが、昨日決めた作業が待っている。身支度もほどほどに身を引きずるように登校。壁の目止めの作業。曇っているのでペイントも渇きが遅い。しかも、少し貧血気味なので梯子の上でフラフラして危ない。「今、落ちたらシャレにならない」とできるところで無理は止める。その代わり、お隣で作業しているクラスメートとおしゃべり。刺青の話になる。彼は、卒業する時もう一つ刺青を入れるということ。刺青のルーツについて話をする。刺青は日に焼けると壊れた細胞と一緒に消えて色が薄くなってしまう、という事をはじめて知る。夜は、お誕生日週のため、お友達と外食。何となく、今はバタバタしてるので落ち着かない。でも、「コースが開けたら、カポエラを習おう!」という話になり今からワクワク。


7月6日(金)
タイトル:ストイックに???

色々、考えつつ買い物。やっと、設置の光景が見えてくる。作品ではなく、会場の方に手を焼かなくてはいけないことに気付く。緊急に準備と作業をはじめる。古いお友達がスタジオを訪れてくれたので、作品を含め話が尽きない。目途が立ったので気分がいい。しかし!やらねばいけない。
この日の新聞にサラ・ルーカスの新作の記事発見。今度は、ケーキだという事。作品のケーキの前で、お茶を飲む彼女の姿が載っている。写真からケーキに転写されたポートレイトの彼女はとても凛々しかったので、そのギャップが可笑しかった。


7月5日(木)
タイトル:リーディング

本日は、家に篭もって読書の日。
本当に贅沢に過ごす。
久し振りに夕立が降り、急に曇った景色が思いのほか綺麗で。部屋をまっくらにしてしばし、眺める。雷と、雨の匂い。
何故かホッとした気分になる。


7月4日(水)
タイトル:ロードショウ。

ビデオデッキ、プロジェクターのための棚設置。機材の一部を受け渡し。学校に人が増えると落ち着かないので作業の目途を立てて写真屋さんに行く。借りていた本を持ち込んで、ソホーのカフェでお茶。先週のお友達のプライヴェートヴューで「あの人どっかで見たことあるな〜」と思っていた人がそこのウェイトレスだった!おしゃべりしたかったが声をかけるタイミングが無く残念。その後、ブリック・レーンの近くのトンネルでお友達&クラスメートが2時間だけの作品展示をしているので見に行く。人気の無いトンネルで焼かれた車とかも置いてある。場だけでも、かなりエキサイティングな空気。作品展示というより、場の空気を共有したという感じ。


7月3日(火)
タイトル:逆子で生まれた私。

本日は29回目の誕生日。なんだかバタバタしながらの誕生日。朝、お友達からケーキを受け取る。その後、編集室に篭もって過ごす。しかし、最初に撮ったかなりラフな画像がやっぱり良い。気が重いまま編集する。なんてことかしら。同級生にも聞いてみるが初めの方が良いという。迷う。迷う。迷う。決められないまま作品の整理。帰宅前、クラスメートに「おめでとう!」を言われ少し泣きそうになる。10年前、19歳の私はこれを想像していただろうか?その夜は、お友達が夕ご飯に誘ってくれイタリアンに。デザートのハニージェラートがメッちゃ美味い!(ウェイトレスさんも大好物といっていた!)さてさて、39歳の私は?


7月2日(月)
タイトル:いつもどおり?

朝から母に電話。少し家族が恋しくなる。その後、ミーティングしながら作業も進める。(さっさと終わって、新しいプロジェクトを早く進めたい・・・・・・。)昨日の強盗騒ぎのため怖くて少し早く帰宅。


7月1日(日)
タイトル:宴会のち、強盗。

本日は、庭でパーティ−。 シンガポール、タイ、そして日本人のお友達がくる。何故か各国の踊りの話になり、盆踊りを小さな輪になって披露・・・・。その後、タイの踊りの基本を教えてもらう。手の動きがとても緩やかで美しい。観音様のように指で輪を作り、もう片方を表に向けるポーズが基本らしい。とても、満足した時間を過ごした。しかし!その後、近所で後ろから強盗に襲われるという事件発生。本当にウチの目の前。その後リサーチしたら、この2ヶ月で4件ほど同じ事件が近所で起こっていた!怖い・・・・・・。
酔いも覚め、フラット緊急ミーティングを開く。



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