TEXT by MAYA KUROSAWA

 


美術を好きになってもう大分経ちます。

好きな美術にもっと近付きたいと思い、もっと中心に入り込みたいと思い、そのまわりをぐるぐると回りはじめて、もう、大分経ちます。
その間に幾つかの美術関係のボランティアや、幾つかの美術に近いお仕事をしてきました。
持ち前の押しの弱さのせいでしょうか、羽毛の様に淡く薄い印象のせいでしょうか、決して中心に押し入る事なく、常にフレッシャーズのような立場を貫き。
決してダイレクトな「美術関係者」になることなく。美術の関係にはいるものの。
それでもやはり美術は楽しくて、愛しくて、衛星の様に美術に一定距離を保ったままそのまわりをぐるぐると回っています。
今日も回っています。
あわよくばもっと中心に近付こうという小さな野心もまだ、燃料に残っています。

ボランティアをする時、バイトをする時、そこには専用の入口や通路、控え室が存在します。
鉄扉だったり警備員が立っていたり、入る時になんらかの証明や記入が必要だったりもします。
あるいは、「関係者以外立ち入り禁止」のしるしがあったりします。
その扉の向こうが「美術の関係」であり、そこにある通路や部屋は全て美術に関係しているのです。
そこここを往来しているのは、全員美術の「関係者」なのです。そこへ入る事を許可され、「関係者入口」「関係者以外立ち入り禁止」とかかれた扉の向こうに入る時、言い様のない喜びと興奮を感じつつ、背筋が何となくのび、深呼吸なんかしたりします。
特権を感じます。政治家の気分が少しわかる気もします。

でも、どうやら皆がそういうわけでは無いようです。特権志向なのでしょうか。
階級を、差別化を主義主張するような、汚れた人間なのでしょうか。そこには純粋な喜びはないのでしょうか。悩みます。あるいはただの扉好きなのでしょうか。

それでも、その扉を押したいが為、その部屋に、その通路に行きたいが為、
もしかしたらこの道を進んでいるのかも知れません。

これから先、何処へ行くのか自分でもわかりません。
そんなスリルとライブ感を共に感じられればいいなと思います。
はじめまして。
どうぞよろしく。

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黒沢まやプロフィール

1972
30年後の流行を先取りし目黒川沿いにうまれる
1995
多摩美術大学絵画科油画専攻卒業
卒業後、現代美術にはまりだし美術関係のボランティア、ワークショップ、その周辺に中途半端に顔を出しながら現在に至る。絵も描けるので、その辺でなんとかならないかと夢を見続ける30歳




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