週刊「÷3」

TEXT by Maki Takemoto

竹本真紀 profile
1976
青森県八戸市に看護婦の母とバンドマンの父の間に生まれる。

1992
中学校卒業記念イラスト展 (八戸NHK)文化センター

1994
バンド「根城パラダイス」(八戸西高等学校体育館で一度限りのライブ)

1999
国立弘前大学教育学部小学校教員養成課程卒業
美術科卒業制作展(弘前大学学生会館、弘前VIVRE)

2000
ひいらぎ展 (柏高島屋ステーションモール市民ギャラリー)
美学校トンチキアートスクール入校 千葉県柏市在中


 4月最後の個展、小野画廊での個展が始まりました。久しぶりの力仕事に少々筋肉痛です。
 今回は協賛株式会社クサカベってことで、油絵をおよそ6年ぶりにかきました。久しぶりの油絵の具はなんて扱いがめんどう!!
でも、においが初心に戻してくれます。わたしはホルベインよりクサカベ派で、特にクサカベのバーントシェンナにはホントにお世話になってました。今回クサカベさんから届いた絵の具にはそのバーントシェンナが大量に入っていて涙ちょちょぎれました。バーントシェンナの深い味わいのある色とテレピンのにおいについついラリってしまいました。
 来月、突然ですが、芸大の学生会館で展示することになりました。「ちょっといっぱいいっぱいです」展らしいです。企画書より引用。「ある特殊なーつまり東京芸術大学での美術のある種の専門教育を受けていないにもかかわらずレベルの高い作家活動をしている」人が参加資格があるらしいです。「芸大出身でない作家というのは、たいしたことではないだろうが、出身の作家に比べると、ちょっとしたハンディを持っている。曰くカネが無い、コネが無い、ヒマが無い。そんなちょっとした障壁が、実際に制作発表する際には、アカデミズムへの無用なコンプレックスのような、大きな差になって現れてくることもある。」ということだそうです。
 わたしは、何度かこの場でも書かせていただいていますが、弘前大学在学中にだいぶ「反アカデミズム」「反芸大」的思想をたたきこまれてきました。しかしながらわたしには「芸大」というものがあることも知らなかったので、美術の大学は武蔵野美術大学と多摩美術大学しか知らなかったので、最初の頃はよくわかりませんでした。ただ、石膏デッサンがうまくても作品は作れないぞ!とか、わたしが芸大や美大を出ていなくても、それ以上のものを教え込むぞ!!という担当教官の意気込みもあったと思います。
 しかし、できあがったものはアカデミックなものでした。「先生、これってアカデミックだよね。」って、最終的には従順な生徒は自分の表現の方を選ぶことになったのです。そして、青森を飛び出し、(半ば先生に背中を押されたところもあります。)今ここにいるわけです。
 わたしは無謀にも芸大の大学院、大沼教室を受けました。先生が国画会だったということもあります。目標設定がわからず、わたしは学生寮に住んでいた間はまともな大学生活をおくれなかったので、もう二年は美術をやりたいという理由からですが、大学院を受けました。受かったとしても学費もないのに。だから途中、芸大を受ける理由も私の中にはなくなっていました。むしろ、美術手帖の後ろに載っていた美学校が気になってしょうがなかったのです。
 村上善男先生は芸大なんか行くな!といつも言ってました。美術を勉強して美術はできない!と。後に美学校に行く事になったらえらい喜んでいました。芸大に入っていたらこんな密な子弟関係はなかったかもしれません。 芸大大学院を受験し、落ちたのにわたしは自信満々で意気揚々と青森に帰り、こう言いました。「先生!受験には落ちたけど、作品なら勝てる!全然勝てるよ!」青森の全く周囲に競争相手がいない中で、とにかく自分は教育学部専攻で教育実習にも行かなくてはならないし、美術以外にも必修科目はあるし、仕送りないからバイト三昧だし、使える時間は寝ても覚めても美術、美術、こんだけ時間使っても芸大、美大に行ってる人にはかなわない。と思ってやってきて、受験に行ったら周囲の作品が思ったほどレベルが高くなかったのです。先生は「そう思うなら二年後、卒展を見に行って、本当に負けてないかみてきなさい。」と言われました。そうこうしているうちに個展、個展で、そんなことすっかり忘れてしまいました。
 上京最初の一年は生活を軌道に乗せるためにバイト三昧で、紙と鉛筆だけで、とにかく描き続けました。弘前を出る時に、アルバイト先のお蕎麦屋さんのお客さんが、「絵はどんなに食べれなくなっても紙と鉛筆さえあればできる!」と言われたのがずっと残っていました。
 今思えばわたしは弘前大学で芸大や美大へ行くよりもよっぽど良い教育を受けたにちがいない。そして村上善男デザイン理論で習った「前川国夫。」「前川国夫と弘前」という本があってつい買ってしまいましたが、城下町弘前に新しい建築を建てた前川国夫の考え方からも、たくさんの霊場や地蔵からもだいぶ吸収できました。
 「芸大」に展示することになって改めて、初心に帰る気がします。

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@個展
2005年4月25日(月)〜4月30日(土)
11:30〜19:00(最終日16時まで)
銀座小野画廊

@2005年5月24日(火)〜5月27日(金)東京芸術大学学生会館展示室
「ちょっといっぱいいっぱいです」展

@個展6月頃東川口のKENArtGallery

友達より。
とりあえず深浦入ってすぐのところで怪しい公園があったので送ります。

ハートわしづかみです。

次回更新は5月6日です!

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