野田的喫茶案内

TEXT by Toshiya Noda


 私は「ケーキが美味しい」という噂を聞いてその店を訪ねた。こじんまりとしたツタに覆われたビルの1階がその店であった。扉を開けるとゴテゴテとしたヨーロッパ調のデコラティブな空間が広がっていた。そして何より私の目を釘付けにしたのはマスター風貌だった。「伯爵様」のような髭をたくわえ、髪を後ろで結い、全身、緑の衣装を身にまとっているのである。結った髪のリボンも胸元のネクタイ(?)もシャツもパンツも緑である。その過剰な装飾の向こうには身長165センチ程度の小柄な中年男性が容易に見透かせる、なんとも独特な雰囲気。しかし、他の店員は黒のTシャツにジーンズというきわめて地味なユニフォームがこのカフェの主役が誰であるかを明確にしている。カウンターの後ろ、つまり彼のバックには大輪の百合の花が飾られ、天井には青空に舞う天使や天女が描かれている。壁には彼の理想郷であろうか、金子國義の版画飾られていた。もちろんBGMは厳かなクラッシック音楽。でも、何故かトイレでは「ラブストーリーは突然に」のインストバージョンが流れていた・・・。

興味がある方、岐阜へお越しの際にご案内します・・・。


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