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FLUX|Yulia Kovanova & Olivia Tutton Exhibition




F L U X (流・動)
ジャケットを羽織る、ジャケットを脱ぎ捨てる
我々はモノを廃棄する ー 物理的に、感情的に
かような変遷の一部は不可避的であり、残されるのは ー 経験、洞察、熟達、英知
けれども変化は、モノを手放そうとする我々の意思がもたらす場合もある ー 重ねた経験が養う知識は、そのための信念を与えてくれる

F L U X
Putting on a jacket, taking that jacket off.
We shed items daily - physically and emotionally.
Some of this transition is inevitable, it comes to us – experience, insight, maturity, wisdom.
However, transformation also comes from our decision to leave items behind – knowledge from experiences can grant us the faith to let go.

■ FLUX
本作《FLUX》は、コヴァノヴァの近作《Three Times to the Moon and Back》(その意味は、カモメ科のキョクアジサシが生涯に旅する距離が、地球と月との間の三往復分に値することに由来する)に対して、タットンの詩によって再解釈を加えた翻案として提示される。
漂うフェザー(羽毛)の反復する記号性は、恐竜の末裔でもある鳥類が世代を重ねて経験し、種の軌跡として遺伝情報を連続するなかで廃棄(白紙化)した、記憶のモニュメントとして空間化される。
タイトルの「FLUX」は「流・動」の相互作用性を意味している。

■アーティスト情報
ユリア・コヴァノヴァ(Yulia Kovanova)ロシア、イルクーツク生まれ
オリビア・タットン(Olivia Tutton)ウェールズ、カーディフ生まれ
スコットランドのエジンバラ芸術大学の大学院プログラムASN(アート、スペース&ネイチャー)コースを修了し、現在は同地で活動するアーティスト、詩人である。
ユリア・コヴァノヴァの主な関心は人間と自然との複雑な「相互関係性」の可視化にあり、風景や自然物などから得たインスピレーションを契機に精力的なリサーチとドキュメントを行う。近作では、ある渡り鳥のグローバルな移動と嘴や体色の変化の関係について自然保護団体と協働し、その生物学的な全体像を空間に展開することで、専ら個別的な事象で万物を認知する人間環境的な“境界”を自然環境的な“連続性”に対比する。インフォグラフィックス的にも映るそのインスタレーションは、扱う素材についても広範なリサーチと厳密な検討がなされ、彫刻的な美しさとのバランスを兼ね備えている。
オリビア・タットンの主な関心は人間の「意識の力」、そして「記憶とその喪失」にあり、近作では深刻なアルツハイマー病を患う近親者のドキュメントに対峙している。彼女はモノに刻まれたヒトの営みや存在の痕跡と真摯に向き合うなかで、主の病によって安定性を欠いたそれら断片が囁くつぶやきを緻密に拾い集め、美的で瞑想的な空間を構成してゆく。そして訪れる者にとっての「いま、ここ」とは、はたして「いつ、どこ」なのかを問いかける。
2016年スターリング大学人文科学学会でベスト・アートワーク賞を受賞。
翻訳・文責:林育正(企画者)


Yulia Kovanova/ユリア・コヴァノヴァ


Yulia Kovanova/ユリア・コヴァノヴァ


Olivia Tutton / オリビア・タットン


Olivia Tutton / オリビア・タットン


 
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2016年7月15日(金)ー7月22日(金)│13:00ー19:00│日・月曜定休│入場無料
オープニングレセプション
7月16日(金) 19:00ー【参加費】500円
〒460-0003名古屋市中区錦2-11-13 chojamachi TRANSIT BUILDING-B1
企画: 林育正│主催:N-mark│後援:エジンバラ芸術大学 愛知県立芸術大学水津功研究室|協力:chojamachi TRANSIT BUILDING