木村崇人
KIMURA Takahito
(Tokyo)



APPLE
N-mark collection2000

名古屋港の倉庫群で
開催予定の展覧会

2000/10/10 〜 10/15

アーティスト
澤登恭子SWANOBORI Kyoko (Tokyo)
木村崇人KIMURA Takahito (Tokyo)
北山美那子KITAYAMA Minako (Nagoya)
高平真帆 TAKAHIRA Maho (Fukuoka)
佐藤優 SATO Yu
(Tokyo)
溝口康彦 MIZOGUCHI Yasuhiko (Nagoya)
小川良子 OGAWA Ryoko
(Nagoya)

 

ビデオプログラム
詳細は会場にて発表

 

 私は愛知県出身なのに、地元で作品を発表するのは今回が初めてだった。大学が東京だったこともあって、制作と活動は主に東京であり、名古屋へは年に1、2度程帰省するだけだった。その為、美術館へ足を運ぶ事はあっても、ギャラリーまではほとんど行く事はなく、今この街にどのようなアート活動が行なわれているのか、今回の「APPLE」展が始まるまでは、恥ずかしながら見当もつかない状態だったのだ。この「APPLE」に関わるきっかけは、この展覧会でも出品している友人の澤登さんからの紹介で、N-markの武藤さんに電話をする事から始まった。広いスペースでの作品発表をしたくてうずうずしていた私にとって、名古屋港の30×30×5mの馬鹿でかいスペースはとても魅力的であり、また未開発の地元ということもあって、とても興味深い企画だった。既に私の心は自分の出品する作品よりもむしろ、いったい名古屋で何が起きているのかという好奇心でいっぱいだった。展示会場の下見をしなかった私は、手渡された会場の風景のカラーコピーとN-markのホームページからの情報、そして話しをもとに展示会場を想像し出品作品の制作に取り組んだ。「地球(自然の力)と遊ぶ」というテーマで、作品を創り続けている私は、何かその場所でしか出来ないことはないかと色々と考えた。その結果、大きな薄暗い倉庫のイメージと名古屋港という場所が、今回の作品の決め手となった。使うものは、名古屋港から汲んだ海水。これを使わない手はないと思い考えて出来たものが、海水から電気をつくりだし、その電流で音をだしたり蛍光灯をつけたりし、男が一時を過ごすパフォーマンス「make from Nagoya port 」だった。

 搬入の日、私は車に作品を積み現地に向かった。着いたそこには、今まで私の知らなかった名古屋があった。港の真横に巨大な倉庫が建ち並んでいる。その1つが今回の展示スペースだと説明されてその場所にまず驚いた。赤く塗られた大きな鉄の扉を開けると、中は薄暗く天上が高い。そしてだだっ広いスペースに太い柱が幾本も突き刺さっている。何しろ味のある空間であった。さらに驚いた事には、隣に建つさらに大きい倉庫は、現在アトリエとしてアーティスト達に安く貸しているのだと言う。ここはアートポート2000という、美術活動を展開中の活気あふれる場所になっていたのだ。アトリエなどの問題を常に持っている東京に住む私には、なんともうらやましく思える環境であった。作家が集まり制作し、さらにこんなに自由に展示するスペースがある。海外では、このような倉庫がアトリエやギャラリーとして使われているのはよく有るが、名古屋港がそのような場所になっているとは想像もつかなかった。搬入は手伝いのスタッフがN-markの計らいで数名スタンバイしており、スムーズに進んだ。特に重労働である300リットルの海水汲みは大変助かった。会場のムードの強さもあり、作品どうしがかち合う事もなく,意外とまとまった雰囲気で展覧会は始まった。それほど多くの人が観に来たとは思えないが、この場所でこういった活動を続けて行くことは、名古屋を活気あるアートの街にする上で大変意味ある事に思えた。

 今回この企画展に参加出来た事は、私の中でとても大きなことであった。元気のある名古屋の若手作家との交流もでき、また活気あふれるN-markの2人に出会えたことは、大きな収穫であったと思う。そして今の名古屋のアート事情を知るとても良いきっかけになったと思う。何しろ驚きっぱなしの1週間だった。私自身もこれを機会に名古屋とアートを通じて、深く関わって行きたいと思う。これからの名古屋に大変期待をしている私でした。                                            木村崇人

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